七つの大罪

ラスト、エンヴィ−、ラ−ス、スロウス、グリード、プライド、グラトニ−。
人の持つ七つの大罪を自分から切り離した男は彼等にその名に相応しい肉体と魂を与え駒とした。
アメストリスを巻き込んだ大きな嵐が去った時全てを知る男はそう若き指導者に語ったという。

「つまり彼等は1人1つの罪しか持たないんだ。我々人間に比べれば何とも可愛い者じゃないか」
「可愛い?また何で?」
「だって我々人間は七つの罪全てを持っているんだ。それに比べたら彼女達はある意味純粋だったと言えないか?ハボック」
黒い瞳が意味ありげにハボックを見る。その色に総統付の護衛官はかつて戦った同じ色の瞳を思い出す。確かに
そこには迷いなんか欠片もなかった。あったのは純粋な殺意だけだ。
「まぁそうかもしれませんがね総統閣下、じゃああんたも七つの罪を持っているんだ?」
「もちろん、そうさハボック。聞きたいかね?私の七つの大罪を」

強欲 AVARITIA

「マ−ス・ヒューズを殺したのはお前か」
あの頃の私は誰彼となくそう聞いて回った。その死の原因を突き止めなければと必死だった。
「そッスね。俺なんかホント妬けました。あんたはやっぱり中佐の事を・・て誤解しそうになるくらい」
「そうだな。けどハボックそうじゃないんだ。あの時私が必死だったのはあいつの死に自分が無関係だったのが
耐えれられなかったんだ」
長年の親友の死は確かに大きな悲しみだったけど。それよりその死が自分とまるで無関係な事でもたらされたという事実の方が耐えられなかった。だから必死に真実を探ろうとしたのだ。
「あいつの生はエリシアとグレイシアのものだったけれど死は私のものであって欲しい・・そんな風に思い込んでいたんだな」
「ロイ・・」
きゅっと抱き締める腕に力が籠る。
「だからお前が死にかけた時・・あの血だまりに倒れ、病院でお前の手術が終わるのを待つ間心のどこかでどこかで安堵してる自分がいたんだ」
大事な恋人が生死の境を彷徨っていたんだ。もちろん不安で気が狂いそうだったけど。
「あの作戦にお前を引き込んだのは私だ。もしあそこでお前が死んだらそれは間違いなく私のせいだ。引き際を過って深追いしたのは明らかに間違いだったから」
「だけどロイ、それは」
反論しようとする口をそっと白い指が縫いとめる。
「お前の死さえ私のものだとあの時思った。誰より悲しみ、後悔し、夜毎自分を責めるだろう。そうして誰より長くお前の事を想い続けていけるんだ。安堵したよ、これからずっとお前は私のものなのだと・・これが私の強欲だよ、ジャン」
艶やかな黒い瞳に妖しい光を宿して罪人は罪を告白した。

短編の練習のつもりで日記にアップしていたものをこちらにまとめました。ちょっとダークな総統閣下と護衛官のお話。
メインシリーズとは関係ありません。

                 

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